駅踏切の電動化完了
2009年12月10日


 鉄道模型少年時代の15号で地面パネル(以下パネル)が配布されましたが、今まで実験してきた電動遮断機をその上に設置しました。
 今まで地面パネルの仕様がわからないまま木製ベースに組み込んでいましたが実際にパネルに設置するにあたって少し変更があります。
 また今回の記事は電動遮断機の作り方を最初から説明していますので今までの記事と重複する部分があります。

 今までと大きく違うのは遮断機の固定方法で以前はビスで固定していたのですがパネルに穴が開けられているのでそこに差し込む事にしました。  ただ差し込むだけではロッドを押す力で遮断機が抜ける可能性があるので留め具を施工します。
 また駅踏切の内側の遮断機の穴が開けられていません。これは遮断機の位置が他の遮断機より線路寄りにあり、その部分の傾斜路が高いので木製ベースのレベルに設置すると遮断棒が下りた時傾斜路と接触するからです。
 今回他の遮断機と同じように遮断機のベースと同じ大きさの穴を開け高さ調整用のアジャスターを入れて少し高くしています。
 これは他の遮断機との高低差をなるべく少なくして見た目のバランスを取るためで本誌の指示通りパネルの上に設置しても構わないと思います。

 遮断棒の開閉にはモーターとギアボックスを組み合わせたものを使っています。一組のギアボックスで対面の両方の遮断機の開閉を行います。
 タミヤの楽しい工作シリーズにユニバーサルギヤーボックスというのがありこれを採用しています。
 このギアボックスのギア比は最高719:1で遮断棒をゆっくり開閉する事ができます。




レシピ表

 今回の改造のレシピを書いておきます。
 なおこの表には電源やスイッチ、警報機のLEDチップ、点滅装置の材料は含まれていません。

材料 サイズ(型番) 価格(参考)
ユニバーサルギヤーボックス 70103 660
ゴムジョイント 32mm使用 100
塩化ビニルシート(黒)*1 1mm厚(200×300) 300
真鍮線*2 0.5mm 50
金属クランクアーム 7015(タミヤ)等 200〜500
ゼムクリップ*3 1個 -
ギアボックス取付け皿ネジ 3mm×10mm〜30mm 2本 -

*1 プラバン等でも可能(ただし黒く着色する必要がある)。
*2 ピアノ線など硬い素材でも代用可能(ただし加工が難しくなる)
*3 真鍮線などのロッドと同じ素材でも可。


遮断機の加工

 遮断機を木製ベースに取り付ける留め具を作成します。
 なお使用している写真の遮断機のベースには木製ベースに直接取り付けるアングルが付いていますが今回使用しませんので外してあります。  付いている場合は外しておいてください



 留め具用金属線(0.5mm)を用意します。20mm位の長さが必要ですが後で余分な長さは切り落とします。
 留め具の素材ですがゼムクリップ、真鍮線、針金、ピアノ線と試したのですが真鍮線が一番加工しやすくてよいと思います。
 針金は柔らかすぎますしゼムクリップ、ピアノ線は硬すぎて加工が困難です。

 上から5mmの部分で直角に折り曲げます。  折り曲げた所から9mmの位置で45度くらいに折り曲げておきます。  この角度は後からボートを押さえるように微調整します。  折り曲げた所から垂直で3mmくらいの位置でカットします。



 これをもう一個作って外側の遮断機の分とします。
 同様に内側の遮断機の分を作成します。  こちらは9mmの長さを遮断機の穴に入れるアジャスターの高さ分プラスします。(*1)
 今回3mmのアジャスターを入れるため12mmとなります。
 なお穴を開けずにパネルの上に設置する場合はパネルの厚さ5mmをプラスして14mmとなります。
 これをもう一個作って内側の遮断機の分とします。

 次に遮断機のベースに留め具を入れる穴をピンバイスで開けます。穴の大きさは使用する金属線の太さで異なります。  穴は遮断機のベースの横の両側の側面の下から3mmのところに2箇所開けます。



 留め具の折り曲げた5mmの部分を遮断機のベースの内側から通して下に折り曲げます。
 この時先端がベースの底よりはみ出す場合はカットしてください。



 赤い線の間隔が木製ボードの厚さ3mm位になるように調整してください。
 内側の遮断機はアジャスターの高さ分プラスします(パネル上は5mmプラスで8mm)。


ロッド部品の作成(前回と同じ)

 部品図のロッド部品AとBを塩ビシートからハサミで切り出します。
 部品Bを部品Aに瞬間接着剤で貼りつけます。
 部品Aと部品Bの右下の頂点を合わます。
 接着面が滑らかなので瞬間接着剤が乾くのに時間がかかります。張り合わせた後しばらく時間を置いてから指で密着させてください。



 接着剤が乾いたら貼りあわせた隙間に下から2mmの位置にピンパイスで0.8mmの穴を開け貫通させます。
 なお穴の大きさは使用する金属線の太さで異なります。(以下同様)
 穴は遮断機のベースの横の両側の側面の下から3mmのところに2箇所開けます。

 貼りあわせた隙間なので比較的簡単に開くと思います。ただなるべく水平になるように角度を見ながら慎重に開けてください。
 予め部品の下から2mmの位置にカッターやヤスリ等で溝を彫っておけば簡単に正確な穴が開けられると思います。



 遮断棒は基部(黒い部分)を切断します。この部分を使用するやり方もあるのでそちらを選択される場合は切断しないでください。その場合はロッド部品の作成は要りません。
 遮断棒切断した面の中心にピンパイスで0.8mmの穴を2mm程度開けておきます。

 ゼムクリップ等の金属線を先ほど開けたロッド部品の穴に貫通させます。長さは後で調整しますので少し長めにしておいてください。
 ロッド部品の右から金属線を出しておいて瞬間接着剤を付け遮断棒を差し込みます。
 金属線のロッド部品に差し込む部分に瞬間接着剤を付け遮断棒とロッド部品をくっつけます。
 接着剤が乾いたらロッド部品の左側に飛び出した余分な金属線を切断します。



 次に遮断棒の回転軸の穴を右下から2.5mm×2.5mmの位置に0.8mmのピンバイスで開けます。
 この穴は遮断棒を真っ直ぐにするためになるべく垂直に開けてください。
 この穴は多少大きくなっても構わないので少し斜めになっている場合はピンバイスで穴を広げながら補正してください。
 次にロッドの穴を左上から1.5mmの×1.5mm位置に0.6mmのピンバイスで開けます。



 ロッド部品はこのままでも構わないのですが場合によっては角(青矢印)が警報機のハシゴにぶつかる事があります。
 ロッド部品の形状を整える上で黄色矢印も合わせてヤスリ等で丸みを付けておく事をお勧めします。




ロッド部品を使わない方法(前回と同じ)

 ロッド部品を使わず遮断棒を加工してロッドを取付ける事ができます。
 ただし細い部品に穴を開ける必要あり、また長時間の動作で壊れる可能性があるのでこの方法はあまりお勧めできません。
 ただより原型に近い形を残せますのでリアルさを追求される方にはこちらの方がよいかもしれません。



 まずオリジナルの回転軸の突起は切断しておきます。
 回転軸の穴を0.8mm、ロッドの穴を0.6mmのピンバイスで開けます。  この時お互いの位置関係で縦方向(赤線)と横方向(青線)を同じ距離にしてください。
 従って回転軸の穴はロッド穴に対して4mm位前方(本来の回転軸より2mm位前方)になります。
 このためロッド穴右の突起部は警報機にぶつかってしまうようになり切り落としてありしてあります。

 なおこの突起部にロッド穴を開ける事もできます。その場合は回転軸の穴は本来の位置に開ける事ができます。
 こちらの方がより原型に近い形が残せるのですが突起部は1mm以下の細さなので0.5mmのロッドは使えないと思います。
 私にはできそうもないのでこの方法は試していません。


ロッドの取り付け(前回と同じ)

 ロッド用金属線(0.5mm)を用意します。50mm位の長さが必要ですが後で余分な長さは切り落としますので少し長めのものを用意してください。
 ロッドの素材ですが真鍮線、針金、ピアノ線と試したのですが真鍮線が一番加工しやすくてよいと思います。
 針金は柔らかすぎますしピアノ線は硬すぎて加工が困難です。

 ロッド全体の長さは30mmですがこれは外側の遮断機のようにパネルに穴を開けて木製ベースに直接取り付けた場合で計算しています。
 内側の遮断機の遮断機の穴に入れるアジャスターの高さ分プラスします。(*1)
 今回3mmのアジャスターを入れるため33mmとなります。
 なお穴を開けずにパネルの上に設置する場合はパネルの厚さ5mmをプラスして35mmとなります。

 まず先端に半円のフックを作ります。この時フックの幅(内径)は1.5mmにしてください。
 次に遮断棒が上がった時のストッパーとなるクランクを作ります。  フックの先端から4mmの所で折ってそこから2mmの所で折り返します。
 後からこの2mmの部分の角度で遮断棒の角度を微調整しますので直角には折らずに60°くらいにしておいてください。



 ロッド部品にフックを差し込みます。この時ロッド棒の長い方から差し込むとやりやすいです。
 フックの先端がこちらを向くようにします。これでフックの先端部がロッド部品Bより手前に飛び出さなくなり遮断機の安全柵にひっかからなくなります。
 フックが可動範囲を自由に動く事を確認します。動きにくい場合はフックの幅を調整してください。
 なおフックの幅をあまり広くすると安全柵にひっかかり正常に動作しなくなるので注意してください。

 遮断棒の回転軸をゼムクリップで作成します。
 ゼムクリップの先端に幅2mm程度のフックを作ります。これは安全柵にひっかけて固定するためです。
 次に遮断棒の軸受けに0.5mmの穴を開け貫通させます。
 ロッド部品を遮断棒の軸受けと安全柵の間に挟んで回転軸を通します。(回転軸はまた抜くので仮止め)



 ロッドを通す穴を遮断機のベースに開けます。  遮断棒の回転軸の支柱のベースの端(縦方向はベースの真ん中)に0.6mmのピンバイスで開けます。



 一度回転軸を抜いてロッドをベースの穴に通しまた回転軸を元に戻します。
 この時回転軸のフックを横にして安全柵の縦の棒に引っ掛けておきます。
 遮断機の回転軸受けより出た部分に配線ケーブル(黒)の皮膜を差し込んでおいて回転軸が抜けるのを防いでおいてください。
 皮膜を差し込みにくい場合はピンなどで皮膜を広げておいてから差し込むと差し込みやすいです。
 回転軸を適当な長さで切断します。



 ロッドに10mm位の長さの配線ケーブルの皮膜を差し込んでおきます。
 これは遮断棒が下がった時の角度の調整に使うストッパーです。
 調整方法は遮断棒を上げた状態でストッパーを上の方にずらしておき遮断棒を手で徐々に下げながら(ストッパーがずれていきます)遮断棒と道路が平行になった時に下げるのを止めます。
 モーターで動作させるとこれ以上ロッドが押し上げられなくなりこの位置で遮断棒は止まります。
 このストッパーの調整は組み立て後でも行えますので現段階では適当な位置にしておいてください。

 部品図に従いロッドを30mmの所でモーター側のクランクアームに入れる部分を折り曲げて加工します。
 クランクアームから抜けないように先端部分は縦のロッド部分と交差させておいてください。(くっついていなくてもよい)



 ロッドを指で上下させて遮断棒の開閉がスムーズに行える事を確認して下さい。
 またロッドのクランクの角度で遮断棒が上がった時、配線ケーブルの皮膜で遮断棒が下がった時の角度を調整してください。


木製ベースへの取付け

 ・外側の遮断機
 木製ベースにロッドを通す穴を開けます。
 私の場合パネルを貼る前に穴をあけているので写真はパネルが貼ってない状態ですが貼ってある場合も同じです。
 遮断機ベースの線(差し込む穴)の内側3mm位の位置に2mm程度の穴を適当な間隔で開けておきます。
 この穴をカッターでつないで切り落とします。


 遮断機をパネルに差し込んでロッドと留め具をこの穴に通して留め具で木製ベースに固定します。



 留め具(赤矢印)が木製ベースを押さえるように折り曲げた角度を調整してください。

 ・内側の遮断機
 カッターでパネルに遮断機を入れる穴を開けます。



 本誌の指示通りパネル上に遮断機を設置する場合はこの作業は要りません。
 外側の遮断機と同様に木製ベースにロッドを通す穴を開けます。
 パネル上に遮断機を設置する場合はパネルの上から穴を開けます。  この時パネルにあける穴は木製ベースと同じく内側3mm位の位置にします。

 部品図の高さ調節用アジャスターを塩ビシートからハサミで切り出します。
 幅(*2)は遮断機をどれくらいの位置に設置するかによって変更します。
 今回は3mmで行いましたがもう少し高くする場合は変更してください。

 長辺12mm、短辺7mmのところを折り曲げて長方形の輪を作りパネルの穴に入れておきます。



 ロッドをクランクアームの回転軸から2番目の穴に通します。

 この写真はビスで固定してありますが実際は留め具を使用

 長さ5mm程度に切ったゴムジョイントを4個用意します。
 このゴムジョイントでクランクアームを両側から挟みこみます。  ゴムジョイントの摩擦でクランクアームを回転させます。
 あまり強く挟み込むとストッパーで止まらなくなります。  またあまり弱いとクランクアームを回転させる事ができなくなので丁度よい強さになるように調整してください。

 両方のクランクアームは同じ方向(どちらも軸受は内側)を向くようにギアシャフトに差し込んでください。
 ギアボックスの取付け方向はどちらでも構いません。木製ベースの形状によって決めてください。  カーブ用傾斜路の遮断機は木製ベースの形状から方向がおのずと決まってしまいます。

 クランクアームに取付けたロッドが真っ直ぐになるようにギアボックスの位置とクランクアームの位置(ゴムジョイントで挟む位置)を調整してください。
 この段階ではクランクアームが自由に動くようにゴムジョイントの挟み込みは弱くしておいてください。



 クランクアームを指で回転させて遮断棒の開閉がスムーズに行えるようにギアボックスの位置とクランクアームの位置の調整を繰返してください。
 位置が決まったら両面接着シート(強力タイプ)というものでベースに仮止めします。
 貼ったままネジ留めをするとクッションとなり多少防音効果が期待できます。
 接着シートは100円ショップ等で簡単に手に入ります。

 シャフトの回転がクランクアームに伝わる程度にゴムジョイントの挟み込みを行います。
 モーターに電池をつないでモーターにより遮断棒の開閉がスムーズに行える事を確認して下さい。(+-を反転させると遮断棒の開閉が行えます)



 ギアボックスの取付け穴の位置に3mmの穴を開けて3mmの皿ネジとナットでボードに固定します。
 なおパネルの素材は柔らかいので強く締め付ければネジの頭はパネルに埋まっていきます。



 問題の内側の遮断機ですが人を立たせて傾斜路を置いてみました。



 道路と遮断棒の隙間は約2mmですので実寸換算では30cmになります。  実際にはこのような踏切はないと思いますが内と外の遮断機の高低差をなるべく小さくするためこのままにします。
 ちなみにパネルの上に置くと隙間は4mmとなり実寸換算では60cmになります。


警報機のスイッチ作成

 警報機のLEDチップの取り付けや点滅装置の作成方法については過去の記事を参照したり他サイトで紹介されている方法で行ってください。
 一応本サイトで紹介している過去の記事は下記のとおりです。

  
LEDチップの取付け

  点滅装置の作成

 ここでは遮断機の開閉による点滅装置のON/OFF機構の作成についてもう一度記載しておきます。

 0.5mmの真鍮線を10cm位に切ったものを用意します。
 スイッチの素材は電気を通すものなら何でも良いと思いますが、あまり硬いとクランクアームが途中で止まってしまいます。
 また柔らかすぎると遮断棒が上がっても元に戻らなくなってしまうので適度の反発力が必要です。
 今回は遮断棒の上下させるロッドと同じものを使いました。

 木製ベースに固定するためのビス穴を作ります。  真鍮線の端をドライバーに巻きつけてビス穴を作ります。



 この真鍮線を写真のような形状にします。



 矢印の部分がクランクアームと接触する部分です。
 取付けてからクランクアームに合わせて形を整えますのでとりあえず適当な形にしておいてください。

 スイッチにするクランクはどちらでも構いません。

 遮断機のビスに取付けてクランクアームと矢印の部分が接触するような位置にしてください。



 真鍮線を2mmのタッピングビス(木ネジ)で木製ボードに取付けます。
 この時いっしょにリード線も付けてください。この線は点滅装置の電源(+)に接続します。

 ギアボックス本体の取り付けビスにリード線を接続します。
 このリード線は電池ボックスの+に接続します。

 真鍮線の形を整えて矢印の部分がクランクアームに垂直に当たるように調整します。
 クランクアームを動かして遮断棒が降りた状態にしてください。
 この時真鍮線がクランクアームに少し押し付けられるように真鍮線の形状を調整してください。



 クランクアームを動かして遮断棒が上がった状態にしてください。
 この時真鍮線とクランクアームが離れるように真鍮線の形状を調整してください。


電動遮断機のテスト

 今回は鉄道模型少年時代の方のためにNATOCや昭和の鉄道模型を作るのコントローラを使わない方法で電動遮断機を動作させる事にしました。
 この電動遮断機を動作させるため中点付の6Pトグルスイッチを接続します。
 このスイッチは真ん中の状態でOFFで左右で正点反転が切り替えられるように配線できます。



 今回スイッチボックスに100円ショップで購入した食品トレイを使用して遠隔操作が行えるようにしました。
 電源には5Vのアダプタ電源を使っています。



 パネル上に設置した電動遮断機の開閉テストの動画(YouTube)です。
     

 モーターと点滅装置に同じ電源を用いたためモーターの起動時や負荷がかかった時、電圧が下がり点滅速度が不安定になるようです。
 レギュレータを使用して電圧を一定にするか別電源にして電圧を安定させる必要があります。

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