電動遮断機のベースへの組込み
2009年10月29日
2009年11月9日/11月18日改訂
電動遮断機を鉄道模型少年時代の9号で配布された木製ベースに組み込んでみました。
何と木製ベースの内側の高さが27mmしかありません。モーターを縦にすると前面からシャフトの後端まで30mm近くあります。
汎用的な130タイプより少し短いRE140でも少し足りません。
そこでモーターを横に置いて気になっていたメカ部分の露出も解決すべくここは大きく方針転換。
さらに対面で同じ動作をするのにモーターが2個必要なのもエコじゃありません。
メカ部分にタミヤのシングルギヤボックス(4速タイプ)(楽しい工作シリーズ)を採用しました。
結構シャフトが長いので両サイドの遮断機の距離をカバーできます。またギヤ比が344.2:1に設定できます。
もっとギア比の大きいものに交換する事によりより本物に近い動きをさせる事ができます。
またこのシリーズには似たようなシングルギヤボックスがありますがどれを使っても良いと思います(ただしギア比が異なるものもあります)。
シングルギヤボックスを組み立てておいてください。ギア比の設定は最高(344.2:1)のもので設定しておいてください。
モーターは配線されていないのでリード線を取付けておいてください。
レシピ表
今回の改造のレシピを書いておきます。
材料 |
サイズ(型番) |
価格(参考) |
シングルギアボックス |
70167 |
500〜700 |
ゴムジョイント |
32mm使用 |
100 |
塩化ビニルシート(黒)*1 |
1mm厚(200×300) |
300 |
真鍮線*2 |
0.5mm(100mm使用) |
50 |
金属クランクアーム*3 |
7015(タミヤ)等 |
200〜500 |
ゼムクリップ*4 |
1個 |
- |
遮断機取付けビスナット |
2mm×10mm〜30mm 2組 |
- |
ギアボックス取付け皿ネジ*5 |
3mm×10mm〜30mm 2本 |
- |
*1 プラバン等でも可能(ただし黒く着色する必要がある)。また取り付けアングルの加工で曲げる必要があるので硬いものは割れる恐れがある。
*2 ピアノ線など硬い素材でも代用可能(ただし加工が難しくなる)
*3 ギアボックス付属のクランクでも代用可(ただし要加工)、また付属のクランクが金属の場合はそのまま使用できる。
*4 真鍮線などのロッドと同じ素材でも可。
*5 ストラクチャーを配置する前であれば付属のビスで可(後で交換)
遮断機の加工
遮断機を木製ベースに取り付けるアングルを作成します。
下の部品図の取付けアングル(8×13mm)を2枚塩ビシートから切り出します。塩ビシートはハサミで簡単に切れます。
上から5mm(下から8mm)の部分で直角に折り曲げます。ラジオペンチ等ではさんで指で折り曲げます。
多少戻りますから90°以上折り曲げて指を離した状態で直角になるようにしてください。
あまり強く折り曲げると割れる事がありますので注意してください。
長い方(8mm)の中央にビス穴2mmをピンバイス等で開けておきます。
短い方(5mm)を遮断機のベースの側面(短い方)に瞬間接着剤等で接着します。
この際ベース取付け面がベースに密着するように平らな所に置いて位置を調整してください。
ロッド部品の作成
部品図のロッド部品AとBを塩ビシートからハサミで切り出します。
部品Bを部品Aに瞬間接着剤で貼りつけます。
部品Aと部品Bの右下の頂点を合わます。
接着面が滑らかなので瞬間接着剤が乾くのに時間がかかります。張り合わせた後しばらく時間を置いてから指で密着させてください。
接着剤が乾いたら貼りあわせた隙間に下から2mmの位置にピンパイスで0.5mmの穴を開け貫通させます。
貼りあわせた隙間なので比較的簡単に開くと思います。ただなるべく水平になるように角度を見ながら慎重に開けてください。
予め部品の下から2mmの位置にカッターやヤスリ等で溝を彫っておけば簡単に正確な穴が開けられると思います。
遮断棒は基部(黒い部分)を切断します。この部分を使用するやり方もあるのでそちらを選択される場合は切断しないでください。その場合はロッド部品の作成は要りません。
遮断棒切断した面の中心にピンパイスで0.5mmの穴を2mm程度開けておきます。
ゼムクリップ等の金属棒を先ほど開けたロッド部品の穴に貫通させます。長さは後で調整しますので少し長めにしておいてください。
ロッド部品の右から金属棒を出しておいて瞬間接着剤を付け遮断棒を差し込みます。
金属棒のロッド部品に差し込む部分に瞬間接着剤を付け遮断棒とロッド部品をくっつけます。
接着剤が乾いたらロッド部品の左側に飛び出した余分な金属棒を切断します。
次に遮断棒の回転軸の穴を右下から2.5mm×2.5mmの位置に0.5mmのピンバイスで開けます。
この穴は遮断棒を真っ直ぐにするためになるべく垂直に開けてください。
この穴は多少大きくなっても構わないので少し斜めになっている場合はピンバイスで穴を広げながら補正してください。
次にロッドの穴を左上から1.5mmの×1.5mm位置に0.5mmのピンバイスで開けます。
ロッド部品はこのままでも構わないのですが場合によっては角(青矢印)が警報機のハシゴにぶつかる事があります。
ロッド部品の形状を整える上で黄色矢印も合わせてヤスリ等で丸みを付けておく事をお勧めします。
ロッド部品を使わない方法
ロッド部品を使わず遮断棒を加工してロッドを取付ける事ができます。
ただし細い部品に穴を開ける必要あり、また長時間の動作で壊れる可能性があるのでこの方法はあまりお勧めできません。
ただより原型に近い形を残せますのでリアルさを追求される方にはこちらの方がよいかもしれません。
まずオリジナルの回転軸の突起は切断しておきます。
回転軸の穴とロッドの穴を0.5mmのピンバイスで開けます。
この時お互いの位置関係で縦方向(赤線)と横方向(青線)を同じ距離にしてください。
従って回転軸の穴はロッド穴に対して4mm位前方(本来の回転軸より2mm位前方)になります。
このためロッド穴右の突起部は警報機にぶつかってしまうようになり切り落としてありしてあります。
なおこの突起部にロッド穴を開ける事もできます。その場合は回転軸の穴は本来の位置に開ける事ができます。
こちらの方がより原型に近い形が残せるのですが突起部は1mm以下の細さなので0.5mmのロッドは使えないと思います。
私にはできそうもないのでこの方法は試していません。
ロッドの取り付け
ロッド用金属棒(0.5mm)を用意します。50mm位の長さが必要ですが後で余分な長さは切り落としますので少し長めのものを用意してください。
ロッドの素材ですが真鍮線、針金、ピアノ線と試したのですが真鍮線が一番加工しやすくてよいと思います。
針金は柔らかすぎますしピアノ線は硬すぎて加工が困難です。
ロッド全体の長さは30mmですがこれは遮断機を木製ベースに直接取り付けた場合で計算しています。
地面用パネルの上に取り付けられる方はその厚みを加算する必要があります。
まず先端に半円のフックを作ります。この時フックの幅(内径)は1.5mmにしてください。
次に遮断棒が上がった時のストッパーとなるクランクを作ります。
フックの先端から4mmの所で折ってそこから2mmの所で折り返します。
後からこの2mmの部分の角度で遮断棒の角度を微調整しますので直角には折らずに60°くらいにしておいてください。
ロッド部品にフックを差し込みます。この時ロッド棒の長い方から差し込むとやりやすいです。
フックの先端がこちらを向くようにします。これでフックの先端部がロッド部品Bより手前に飛び出さなくなり遮断機の安全柵にひっかからなくなります。
フックが可動範囲を自由に動く事を確認します。動きにくい場合はフックの幅を調整してください。
なおフックの幅をあまり広くすると安全柵にひっかかり正常に動作しなくなるので注意してください。
遮断棒の回転軸をゼムクリップで作成します。
ゼムクリップの先端に幅2mm程度のフックを作ります。これは安全柵にひっかけて固定するためです。
次に遮断棒の軸受けに0.5mmの穴を開け貫通させます。
ロッド部品を遮断棒の軸受けと安全柵の間に挟んで回転軸を通します。(回転軸はまた抜くので仮止め)
ロッドを通す穴を遮断機のベースに開けます。
遮断棒の回転軸の支柱のベースの端(縦方向はベースの真ん中)に0.5mmのピンバイスで開けます。
一度回転軸を抜いてロッドをベースの穴に通しまた回転軸を元に戻します。
この時回転軸のフックを横にして安全柵の縦の棒に引っ掛けておきます。
遮断機の回転軸受けより出た部分に配線ケーブル(黒)の皮膜を差し込んでおいて回転軸が抜けるのを防いでおいてください。
皮膜を差し込みにくい場合はピンなどで皮膜を広げておいてから差し込むと差し込みやすいです。
回転軸を適当な長さで切断します。
ロッドに10mm位の長さの配線ケーブルの皮膜を差し込んでおきます。
これは遮断棒が下がった時の角度の調整に使うストッパーです。
調整方法は遮断棒を上げた状態でストッパーを上の方にずらしておき遮断棒を手で徐々に下げながら(ストッパーがずれていきます)遮断棒と道路が平行になった時に下げるのを止めます。
モーターで動作させるとこれ以上ロッドが押し上げられなくなりこの位置で遮断棒は止まります。
このストッパーの調整は組み立て後でも行えますので現段階では適当な位置にしておいてください。
部品図に従いロッドを30mmの所でモーター側のクランクアームに入れる部分を折り曲げて加工します。
クランクアームから抜けないように先端部分は縦のロッド部分と交差させておいてください。(くっついていなくてもよい)
ロッドを指で上下させて遮断棒の開閉がスムーズに行える事を確認して下さい。
またロッドのクランクの角度で遮断棒が上がった時、配線ケーブルの皮膜で遮断棒が下がった時の角度を調整してください。
木製ベースへの取付け
鉄道模型少年時代の9号で配布された木製ベースを加工して遮断機を取り付けます。
2号で配布された原寸レイアウトシートを木製ベースに当てて遮断機の位置(四隅)にピンで穴を開けておきます。
この穴をシャープペンシルでつなげて遮断機の位置を木製ベースに書いておきます。
この線の内側2mm位の位置に2mm程度の穴を適当な間隔で開けておきます。
この穴をカッターでつないで切り落とします。
遮断機を木製ベースに合わせて取付けアングルの穴の位置に2mmの穴をピンバイスで開けます。
遮断機を2mmのビスナットで木製ベースに固定します。
ロッドをクランクアームの穴に通します。
金属のクランクアームの場合回転軸から2番目の穴に通します。
クランクアームの軸受部が内側を向くようにしてください。
なおクランクアームを固定するネジは今回使いません。
付属の樹脂製のクランクアームを使う場合は予め軸穴を3mmに広げておいてください。
シングルギアのシャフトが自由に回転するように穴を広げてください。
樹脂製のクランクアームの場合長い方のアームの回転軸から1番目の穴に通します。
長さ5mm程度に切ったゴムジョイントを4個用意します。
このゴムジョイントでクランクアームを両側から挟みこみます。
ゴムジョイントの摩擦でクランクアームを回転させます。
あまり強く挟み込むとストッパーで止まらなくなります。
またあまり弱いとクランクアームを回転させる事ができなくなので丁度よい強さになるように調整してください。
両方のクランクアームは同じ方向(どちらも軸受は内側)を向くようにギアシャフトに差し込んでください。
ギアボックスの取付け方向はどちらでも構いません。木製ベースの形状によって決めてください。
カーブ用傾斜路の遮断機は木製ベースの形状から方向がおのずと決まってしまいます。
クランクアームに取付けたロッドが真っ直ぐになるようにギアボックスの位置とクランクアームの位置(ゴムジョイントで挟む位置)を調整してください。
この段階ではクランクアームが自由に動くようにゴムジョイントの挟み込みは弱くしておいてください。
クランクアームを指で回転させて遮断棒の開閉がスムーズに行えるようにギアボックスの位置とクランクアームの位置の調整を繰返してください。
位置が決まったらビニルテープ等で仮止めします。
シャフトの回転がクランクアームに伝わる程度にゴムジョイントの挟み込みを行います。
モーターに電池をつないでモーターにより遮断棒の開閉がスムーズに行える事を確認して下さい。(+-を反転させると遮断棒の開閉が行えます)
ギアボックスの取付け穴の位置に3mmの穴を開けて3mmの皿ネジとナットでボードに固定します。
この段階ではギアボックスに付属の取付けネジでも構いませんがストラクチャーの邪魔になるので後で皿ネジに変更しておいてください。
なお木製ベースの素材は柔らかいのでネジ穴のテーパー加工をやらなくても強く締め付ければOKのようです。
遮断機の開閉テスト
今回は鉄道模型少年時代の方のためにNATOCや昭和の鉄道模型を作るのコントローラを使わない方法で電動遮断機を動作させる事にしました。
この電動遮断機を動作させるため中点付の6Pトグルスイッチを接続します。
このスイッチは真ん中の状態でOFFで左右で正点反転が切り替えられるように配線できます。
スイッチに配線して木製ベースの既存の穴に取付けます。
既存の穴は大きいので塩ビ板でスペンサーを作りました。
電源には1.5Vの電池を2本使用しました。
電池ボックスを木製ベースに内蔵したので今回の実験では配線がベースの外に全く出ていません。
木製ベースに組み込んだ電動遮断機の開閉テストの動画(YouTube)です。
全てのメカが完璧に木製ベースに納まり、遮断機も所定の場所に設置できたので一応目的達成です。
ただちょっとギアのノイズが気になります。今回の実験では付属のグリスは使用していませんがレイアウトに設置する時は塗っておいた方がよいと思います。
次回は警報機の点滅とそのON/OFFの機構を構築する予定です。
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