SL鉄道模型転車台電動化(ブラシレス化その2)
2013年8月31日


 SL鉄道模型の転車台ですがブラシとパターンによるメカでの車両制御を止めてデジタル制御にする改造をしています。
 前回はその前段階として電流の方向を固定して電動転車台を動かしてみました。
 そのため次のような制限がありました。

  ・主桁を反転させると待避線と電流の方向が異なるため反転はできない。

  ・待避線の個別制御ができないので待避線に車両を入れたまま別の車両の転車台操作ができない。

 まず主桁に流す電流の方向を制御して主桁が反転した時でも待避線と同じ方向に電流が流れるようにします。
 なお1番線(上側の本線)と5番線(下側の本線)に接続する場合は電流の方向を逆にする必要があります。
 オリジナルの転車台と同じように1番線(上側の本線)に接続する場合は逆方向に電流を流れるようにします。
 これらをまとめると次のような表になります。


接続線 主桁(正転) 主桁(反転)
1番線(本線) 後進 前進
2番線(待避線) 前進 後進
3番線(待避線) 前進 後進
4番線(待避線) 前進 後進
5番線(本線) 前進 後進

 主桁電源の制御はリレーを2個使って行います。
 回路図は以下のようになります。



 リレーの入力信号はarduinoの6番ピンと7番ピンを使います。

 次に待避線に流す電流を制御して主桁が接続した時にだけ電流を流すようにします。
 なお待避線は常に本線と同じ方向に電流が流れるので方向を制御する必要はありません。
 各待避線電源の制御はリレーを1個づつ使って行います。
 回路図は以下のようになります。



 リレーの入力信号はarduinoの3番ピン(2番線)または4番ピン(3番線)または5番ピン(4番線)を使います。
 この回路を待避線1本毎に接続します。
 全体の回路図は以下のようになります。



 基板にリレーを実装します。



 左側の2個は主桁の電源制御用で後の3個は待避線の電源ON/OFF用です。
 右下のタクトスイッチは転車台用の電源スイッチですが転車台の回転操作スイッチと離れている使いにくいので右のジャンパー線で常にONの状態にして操作基板の方を使っています。



 arduinoとは8Pのコネクター(操作基板と同じ)で接続します。
 左側が今回の基板との接続用で右側は操作基板と接続されています。



 arduinoの0PIN〜7PINのコネクターにはGNDがなく1PINはサーボの信号線につなぐ必要があります。
 そのため従来のサーボコネクター(左写真白丸)を今回の基板に接続してGNDをサーボのGNDから取り1PINをサーボの信号線に供給するようにしました。(右写真白丸)
 なお今回のボードはVCCは使用しないのサーボコネクターのVCCはそのまま出力のサーボコネクターに接続します

 ここでちょっと困った事が、
 今までarduinoの4PINと5PINをポイントの切替え用に使っていたのですが今回リレーに割り当ててしまいました。
 残りのデジタルピンは0PINしか残っていません。(1PINは自動停止装置のリレーに使っています)

 しかたがないのでポイントの切替えをアナログ入力に移そうかと思いました。
 ただしアナログ入力の場合、プルアップ抵抗が必要となってちょっと面倒です。
 しかしarduinoのアナログ入力(0〜5)をデジタルピンの14〜19に割り当てる事ができるようです。
 アナログ入力の0と1は自動停止用センサーの入力に使っているので4と5をPIN18,PIN19として使う事にしました。



 右側の青と黄色のリード線がポイントの切替え用です。(上写真白丸)
 私の場合はアナログ入力の0と1を自動停止用に使っていますがアナログ入力を使っていなければ今回の5個のリレー制御に割り当てても良いかと思います。(ちゃんとデジタル出力してくれます)

 なお従来6PINを自動停止用リレーに割り当てていたのですが今回2PINに移したので今回の基板と接続するようにしました。(下写真白丸)



 今回のスケッチはこちらになります。

boolean relay_control = true; //転車台電源をリレー制御する時はtrueに変更
int bridge1 = 6; //主桁出力(前進)
int bridge2 = 7; //主桁出力(後進)
int line2 = 3; //2番線出力
int line3 = 4; //3番線出力
int line4 = 5; //4番線出力

 本機能を使う場合はrelay_controlの値がtrueになっている事を確認してください。
 必要に応じて出力ピンの番号を変えてください。
 その他自動停止やポイントの制御もこのプログラムで行えます。
 必要に応じてこれらの値をセットしてください。



 実際に動作させた動画です。

     

 一応オリジナルの転車台とほぼ同じ動きをさせる事ができました。
 これでブラシの接触不良の心配はなくなりました。
 SL鉄道模型の転車台は少ない部品で複雑な制御ができる設計は素晴らしいと思います。
 しかし正常に動かそうとすると微妙な調整が必要で稼働時間よるメンテナンスは必須だと思われます。

 ブラシによる調整を行っても正常に動作しなくなったら今回のようにデジタル化するのもひとつの手だと思います。
 ただし今回の改造は転車台ベースと主桁を大幅に加工するため元の状態に戻す事はできませんのであくまでも自己責任という事でお願いします。

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