クラフトマガジン
2011年1月7日
みなさんデアゴスティーニという会社はご存知でしょうか。
1901年に設立されたイタリアの分冊百科やパートワークの草分け的出版社で、創刊号の発売に合わせてテレビCMをバンバンやっているので必ず一度は見た事があると思います。
この中でクラフトマガジンと呼ばれるものがあり毎週発売される雑誌に付いてくる部品を組み立てると立派な模型が完成する訳です。
昔よく雑誌の付録を組み立てたものですが、これは付録がメインで雑誌はオマケです。
シリーズの号数は短いものでも50号位で長いものになると100号にもなります。
販売価格は1,500円から2,000円位で模型が完成するのには10万円〜20万円位の投資が必要です。
同等の模型のキットだけ買ってきて組み立てればもっと安上がりなのでそんなもの売れないのでは思いきや、そこにはクラフトマガジン出版社のしたたかなるマーケティング策略があります。
毎号部品が小分けにされており比較的買いやすい値段に設定されています。
模型のため一度に10万、20万支払うのはちょっと気がひけますが、各号の値段ならつい買ってしまいます。
さらに創刊号は原価割れを起こしているんじゃないかという破格の値段で販売されます。(中には180円というのもあります)
また創刊号で配布されるパーツは結構クオリティーが高いのでそのままのクオリティーが続くと錯覚してしまいますが、大抵はシリーズの中盤あたりからだんだんショボクなっていきます。
中盤以降になるとリタイヤする訳にいかず仕方なくそのまま買い続けさせられます。出版社はこれでシリーズ序盤のコストを回収します。
私はこれを逆手にとってよく創刊号だけ買う事があります。(結局そのパーツは使わないので無駄なのですが)
みんながみんな創刊号狙いで創刊号しか買わなければおそらくその出版社は潰れてしまうと思いますが、そこは敵もちゃんと計算して価格設定しているのだと思います。
次に我々のような自由になるお金を持っていそうなオジさんが興味を持ちそうなシリーズを出してきます。子供の頃、憧れていた車やバイク、手が届かなかった高い模型などをラインナップして大人買いさせてきます。
またシリーズに興味を持ちそうな人が見そうな番組の前後に集中してテレビCMを打ってきます。
そんなクラフトマガジンの戦略にまんまとハメられたのが何を隠そうこの私で、そのクラフトマガジン歴をご紹介します。
まず最初にやったのはデアゴスティーニの「週刊リアルロボット」でセンサーで床の線を追跡したり音声認識により言葉で命令した動作を行ったりします。
教材会社のソフトの委託開発をやっていたのでその調査の一環という理由をこじつけてこの世界に足を突っ込んでしまいました。
その次はデアゴスティーニの「週刊ラジコンCAR」で1/10スケールのスバル・インプレサの電動モータラジコンカーで組み立てるだけでなく操縦が楽しめます。
この後デアゴスティーニではいくつかのラジコンカーのシリーズを出していますが一番最初のシリーズだったと思います。
この車、結構なスピード(MAX時速60Km)が出るので操縦が下手な私の車はご覧の通り補修テープだらけです。
クラフトマガジンには読者プレゼントというものがあって全巻(場合によっては途中まで)揃えた人は応募すると無料で品物が送られてきます。
ラジコンの送信機は雑誌一冊の値段としては高すぎるのでこの読者プレゼントで配布されました。
その次はデアゴスティーニの「週刊戦艦大和を作る」で全長1mmの1/250スケールの戦艦大和のディスプレイモデルです。
戦艦大和は子供の頃一番作ったプラモデルで大人になってもつい買ってしまいます。
このシリーズのパーツは金属と木材の半々の組み合わせで組み立てに少し技術を要します。
特に船底は細長い木材を組み合わせてこの微妙な曲線を出すためにパテを塗っては磨き、またパテを塗っては磨きの繰り返しでいい加減嫌になってきました。
このシリーズの読者プレゼントはディスプレイケースだったので作る手間が省けました。
その次は講談社の「昭和の鉄道模型をつくる」でNケージの鉄道模型で60cm×45cmのレイアウトに昭和の街並みのジオラマを作成してそこにNケージの列車を走らせるものです。
写真に写っている電源コントローラは読者プレゼントのシリーズオリジナルのものです。
私はジオラマ作りに凝る方ではないのでジオラマは教科書(組み立てガイド)通りに仕上げて列車を動かす方に凝っています。
このレイアウトをベースに列車をコンピューターで制御するシステムを作ってみました。
列車の位置を画像解析で認識して列車を制御するものです。
クラフトマガジンを教科書通りに組み立ててもおもしろいのですが、それをベースに自分の創意工夫を折り込むのは結構おもしろいものです。
鉄道模型と並行してやっていたのがデアゴスティーニの「週刊ハーレーダビットソン」で1/4スケールのハーレーダビットソン(FAT BOY)のディスプレイモデルです。
私はバイクに乗りませんがエンジンむき出しのバイクの模型は車の模型と同様に結構好きです。
このモデルは大和と違ってほとんどのパーツが金属で塗装の必要もなく初心者向けです。
組み立てを楽しむのではなく飾って楽しむ方にウェイトが置かれているようです。
鉄道模型と並行してやっていたので組み立てが楽なのは助かりました。
昭和の鉄道模型、ハーレー、フェラーリのディスプレイ用のアクリルケースはアクリルをカットする寸法を指示をして発注したものを組み立てています。(といってもアクリル接着剤を流し込むだけですが)
その次はデアゴスティーニの「週刊フェラーリ・グランツーリズモ」で1/10スケールのエンッオ・フェラーリのディスプレイモデルです。
この車は日本人のデザイナーの奥山清行氏のデザインしたとして有名です。
私はフェラーリのような現代のスーパーカーより日本のクラシックなスポーツカーの方が好きなのですが出来上がりの美しさにちょっと惹かれてしまいました。
このモデルもハーレーと同様、ほとんどのパーツが金属で塗装の必要もなく簡単に組み立てられます。
このモデルは既にクオリティの高い塗装(フェラーリレッド)がされているので誰が作っても綺麗に仕上がります。
所詮本物のフェラーリとは縁がないので模型ぐらいは世界最高クラスのスーパーカーという事で。
その次は講談社の「昭和の鉄道模型をつくる」の続編で「鉄道模型少年時代」で同様にNケージの鉄道模型で60cm×45cmのレイアウトに我々の少年時代頃の風景を再現するものです。
昭和の鉄道模型にはなかったLEDを使った電飾やお祭りや踏切の音が出る仕掛けが付いています。
今回は踏切の遮断機をコンピューターで制御するようにしました。
オリジナルの遮断機は動きませんが、モータを組み込んで動かすようにしました。コンピューターで制御しますが動くメカはアナログです。
またオリジナルでは動かないバスも動かす予定です。
このシリーズは全75号で現在68号まで終わっているのでまもなく完成です。
現在仕掛かり中なのがデアゴスティーニの「週刊零戦を作る」で全長1mmの1/16スケールの零戦二一型のディスプレイモデルです。
零戦も大和同様、子供の頃よく作りました。
まさに我々をターゲットとしたシリーズ構成です。
大和と違ってパーツはほとんど金属製(主にアルミ)ですが大和同様組み立てには少し技術を要します。
金属製といってもハーレーのように大型のパーツをボルトで固定するのではなく極小の金属部品を接着して作るので誰でも綺麗に作れる訳ではありません。(私のも接着剤でメタメタです)
このシリーズは100号の長丁場で現在71号ですがまだ機体はバラバラの状態です。
完成すると全長56cm、全幅75cmとかなり大きいので保管場所に困っています。
クラフトマガジンの他、デルプラドの「カーコレクション」(全85号)、アシェットの「国産名車」(全90号)を合わせるとかなりの金額をつぎ込んでしまっています。
しかしこれからもオジさんたちの心をくすぐるようなものを次から次へと出してくると思います。我々クラフトマガジン依存症はその戦略に乗せられて今後も買い続ける事になるでしょう。
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