トレインスコープ・モドキその2
2008年9月19日
前回の番外編では超小型ビディオカメラをトレインスコープとして使えるかのレポートしましたが、超低速運転ができないためスロー再生という姑息な手段を使ってしまいました。
昭和の「鉄道模型」を作るのパワーパックでは低速運転すると列車が止まってしまいます。
しかし高級なパワーパックは低速運転が可能という事です。
何が違うのか、今までNゲージのパワーパックは単に直流電源を供給するだけの物だと思っていました。
しかし世の中、進歩するもので(私がNゲージをやっていたのは30年近く前)パルス幅変調(PWM)という技術で速度を制御するそうです。
これは直流電源をパルス(波形)化してONの時間とOFFの時間の比率(デューティー比)を変えてやると速度が変化するという仕組みです。
それならそのパワーパックを買ってくればいいじゃんという訳ですが、
そこは貧乏人のセコい根性(良く言えばエンジニアスピリット)で自分で作ってしまえという事ですがただ部品を買ってきて作るのでは芸がありません(製品を買うのと変わらない)。
そうですソフトウェアならただで実現できます。NATOCを改造すればできるんじゃないかと考えました。
NATOCはDC電源をI/Oコントローラのリレーで制御しています。このリレーを高速でオンオフを繰り返せばPWMのパルスを作りだせるのではないかと。
しかしあまりにも切替が遅いと列車は運転、停止を繰り返してしまいます。
かと言って高速にリレーを動作させる事はできるのかはなはだ疑問です。
最近のコンピュータはミリ秒のオーダーで動作するのは全然問題はありませんが果たしてリレーをそんなに高速で動かしてもいいものか。
ダメ元で実験をやってみました。列車制御で使う最初のリレーは壊れてしまうとNATOCが使えなくなってしまうので最後のリレーを使うことにしました。
最初は安全を考えて周期100ミリ秒でやってみましたが列車が小刻みに震えて動きました。外から見ても震えているのでましてこれでカメラ搭載車を引っ張ったら画像がブレまくるのは目に見えています。
だんだん周期を下げていくと50ミリ秒あたりで安定します。安全値を見て40ミリで行う事にしました。
写真では分からないのですがリレーが秒速25回でON,OFFを繰り返しています。LEDはこの周期で点滅しています。
なお安全のためリレーは使っていない9番,10番を使っています。そのためパワーパックと接続しているコネクタは差し替えてあります。
どうせならNATOCのジョグコントローラでデューティー比が変わるようにすればシミュレーションのように画面のコントローラで速度が変えられます。
また自動運転のプログラムで速度を設定できれば、列車の速度を制御するプログラムを作る事ができます。
そんな訳でただトレインスコープを低速で動かしたいという目的からNATOCの列車速度制御という大掛かりな改造になってしまいました。
最初はリレーを無茶な使い方をするので隠しコマンド的にしておこうと思いましたが、我ながら列車の速度制御が意外にスムーズにできるのに驚き公開する事にしました。
詳しくはNATOCの解説ページをご覧ください。
なおリレーを無茶な使い方をするのでNATOCのユーザの方はあくまでも自己責任においてやってください。
本来の目的の低速運転でトレインビューを撮影をしました。
前回殺風景な絵しか撮れなかったので鏡を少しレイアウト側に向けています。
そのせいで画面が傾いている事をご了承ください。
昭和の鉄道模型を作るの標準の動力ユニットでも低速運転が可能になったので今回はこれを動力車としています。
低速運転でのトレインビューの動画(YouTube)
昭和の鉄道模型を作るのレイアウトを40秒で周回する速度です。目標は60秒でしたがレイアウトの作りが良くないのでこれ以上低速だとポイントで止まってしまいます。
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